このところ立て続いて無所属の森田健作衆議院議員と民主党の山本譲司衆議院議員の犯罪疑惑がマスコミに派手に登場し、国民もその成り行きに注目している。私は彼らの気持ちが痛いほど分かり、選挙で逮捕者が出るたびに信じられない気持ちで一杯に なる。
私は昭和49年7月の参議院選挙で戦後最大の選挙違反を出した。当時、私は田中角栄氏の推薦で自民党から立候補し、全国2000会場をキャンペーンして回り約80万票、全 国区13位で当選したが、その選挙活動は佐藤栄作氏の息子や山東昭子氏、宮田輝氏な どの有力な候補者が出ていたので苦戦が予想され、後援会や支援者達は票を取りまとめるために金を使った。その後選挙違反が発覚し、辞任要求を突きつけられた。が、 そのときに「殴られても蹴られても辞めない」と言い放って居直り、世論の圧力に屈 せず6年の任期を満了した。
今、森田健作は秘書が買収をやったということで司法の結果待ちであり、起訴されれ ば連座制につながり、本人が辞任するものとして最大の注目を浴びている。私が一番言いたいのは選挙に本当のボランティアはあり得ないということである。そもそも選挙活動には様々な人達が様々な協力という形で関わってくる。本人でさえ目が届かない部分があるのが実体だ。そしてそれらの活動のすべてが公職選挙法の範囲内で、しかも違反をしない範囲内での協力などあり得ないのだ。言い換えれば何の見返りも期待しないで協力をしてくれるわけがないのだ。夜遅くまでポスターの手配をする運動員も、一日中声をからして呼び掛けるうぐいす嬢も、そのうぐいす嬢の毎日の世話をする人達も・・・深夜の車代、食事代なども出さずに全てを公職選挙法の範囲内で行うという方が無理なのである。運動に参加してくれた人達に何らかの形でお礼をするのは当たり前のことで、日常茶飯事のことなのである。そして運悪く捕まれば略式起訴となり、公民権停止、連座制となれば議員失脚となる。今回の件で東京地検特捜部は公職選挙法、拡大連座制の適用とかで動いているが、きれいな選挙などあるとは誰ひとり信じている人はいないのではろうか。私はきれいな選挙などあるのかと今だに疑っている。選挙違反をこしたくなければ立候補しないのが賢明だ。
「森田議員について」
森田健作は自民党の公認がとれず、東京4区より無所属で立候補し、自公保連立与党の「統一候補」となった公明党の遠藤乙彦氏と争い、「鬼に戦いを挑む桃太郎」と自民党の悪口を言って当選した。そして逮捕された森田議員の秘書は当初は公職選挙法で疑惑をもたれたわけではなく、別件(脱税事件)逮捕であった。森田氏をかばうわけでもないが、検察の何か見えない力が動いているように感じる。
私も昭和49年の参議院選挙前に田中角栄先生に弟子入りし、同氏の推薦で自民党から立候補した。ところが当時は自民党の中でも角福戦争といわれ、田中角栄氏と三木武夫氏、福田赴夫氏との勢力争いは有名なところであった。そのアンチ田中と言われていた福田赴夫氏が私の総決起大会に応援に駆け付けてくれる、中川一郎氏は応援してくれる・・・そんな事が田中角栄氏(当時、自民党幹事長)を怒らせてしまった。当選を果たし、しばらくして当時の大沢検事総長が私のいた神戸までわざわざ来て、総長自ら陣頭指揮をとっていたのを思い出した。何故そんな事をされるのか初めのうちは理解できなかったが、幹事長を怒らせてしまった私への熱いお灸であったことに気がついた。当時は当選後100日以内に辞任をすれば、次点の人が繰上げ当選と言う事になっていた。私の戦後最大の選挙違反をあおり失職させ、次点に控えていた田中派の山下春江を繰上げ当選させるという目論みがあったのだ。今でこそ話せることだが、当時の私としては公私共々苦しい日々であり、今もって幹事長を怒らせると大変なことになると身にしみて思うのである。
ちょっと話は横道にそれるが、森田健作は、昔、青春物で売っただけあって、未だ頭の中が青春であるように感じる。判決が出て秘書の岩下の刑が確定するまでは、選挙違反ではないのだ。その前に辞めてしまえば犯罪だったことを立証するようなものである。自分が親分なら、親分のために働いてくれた子分のためにもっと頑張って欲しいと思う。子分が自分のためにやった事だということを忘れてはいけない。正式な判決が出るまでは自分の態度を軽々しく公表すべきではない。
繰り返し言うが、日本においてクリーンな選挙活動というものはあり得ない。沢山の議員が違反をしているにもかかわらず、又、選挙取締本部が解散した後にもかかわらず秘書が別件逮捕され、今さら選挙違反で起訴されることは、野中幹事長を怒らせてしまったのではないかと思うのは私だけではないだろう。
「山本議員について」
民主党の山本譲司衆議院議員に逮捕状が出て逮捕されるらしいが、与野党を通じて他の議員も逮捕者が続々と出ることだろう。秘書の給料に手を出すなんて最低の代議士だと思われるかもしれないが、現役の時に国会対策委員会副委員長、議員運営委員会理事などを長年務めてきた私の経験から言うと、社会党、野党においては、国会議員の歳費や秘書の給料を維持費、経費として事務所に全部入れ、自転車操業をして運営しており、そんな事は当たり前のことなのである。
例えば、自分の妻や娘、息子を公設秘書にし、その給料を経費として使い、その経費から選挙区や議員会館の秘書を月5万、10万の安い給料で雇う。また献金を受けている企業から社員として秘書の給料や事務所の車まで出ているのが現状である。森田健作や山本譲司をかばうわけではないが、大方の国会議員がやってきているそんな些細な事で目の色を変えてまで取り調べ、犯罪人にして立件できるならば、日本のほとんどの国会議員が捕まってしまうことだろう。
私が現役の時は野党の議員のほとんどがその息子や娘を秘書にしていた。今になって、かつて皆がやってきた事を取り締まる方も取り締まる方だが、当時は許されていた事が何故今許されないのだろうか。








