小泉首相は首相という職は面倒くさいものだと思い始めているようだ。
陸上自衛隊の先遣隊がイラクの地を踏んだ中で、日本の将来を大きく左右しかねない今国会の代表質問が始まったが、小泉首相は「議員の質問に答える」という重要な仕事をやろうとしない。これは議会制民主主義を根底から崩壊させる所業だ。
民主党の松本剛明氏が首相答弁に納得せず、自衛隊のイラク派遣問題などで再質問に立った時のことだ。
小泉首相は「質問が多すぎる。答弁に不満があるなら委員会で論議したい」とのたまった。さらには「議院運営委員会で質問のあり方を協議してもらいたい」とまで発言した。
首相の施政方針など政府四演説に対する代表質問は、実質的な国会審議の始まりであり、各派を代表する議員が行う。それだけ重要な意義を持っているのだ。
そして答弁は、質問者にばかりでなく、国民に向かって答えるという意味を持っているのだ。
それを「質問が多い」といった理由で答弁を拒否した小泉首相は首相失格だろう。こんな首相じゃ質疑が成り立つはずがない。
私に言わせれば政治とは元々手間のかかるものなのだ。それを面倒だと思うのなら今すぐに政治家を辞めろと言いたい。
とりわけ今国会には特別な意味がある。「戦争状態」にあるイラクという外国領土に、自衛隊を初めて派遣する案件を審議する。日本の安全保障政策の転換という点に限らず、憲法や国のあり方にかかわる歴史的重みを持った国会のはずだ。
依然、世論調査では自衛隊派遣の賛否は真っ二つに割れている。小泉首相が全く説明をしないのだから当たり前だ。同じ世論調査で「首相の説明が無い」とする国民が80%にも上る異常事態なのだ。
民主党の菅直人代表への答弁でも「戦闘に行くのではないから憲法違反ではない」「自衛隊こそ困難な任務に当たれる」と繰り返すが、これでは何も答えていないに等しい。小泉首相は早々に陸自本体への派遣命令を出し、月内には派遣の国会承認を得たいのだろう。しかしそれは、この派遣が日本にどのような国益をもたらすのかを明確に説明してからにしてほしい。首相は説明責任を果たせないなら辞任しかないのだ。
そして、挙句の果ては北方領土視察の企てだ。本人はしらばっくれているが稚拙な政治的演出が大好きな小泉首相のやりそうなことだ。こんなものが政権浮揚のグッドアイデアだと思っていること自体無能の証明だ。
まあ批判は尽きないのだが、このごろの小泉首相のヘタリ具合は気の毒というか痛々しい。力の無い変人が間違って首相になってしまったことがこんなに不幸なことだとは自分でも思っていなかったに違いない。就任から3年が経とうとしている、もう十分だろう。
国民の関心事は景気対策や年金であって小泉パフォーマンスに付き合うことではないのだから。