欧州連合(EU)加盟国の財務相を代表してブラウン英財務相が「燃料コストの高騰が世界経済の成長を減速させないようOPECが一段の努力をすべき」と指摘した。
そして、その1週間後の9月20日石油輸出国機構(OPEC)は定例総会で、原油生産枠を現行の日量2800万バレルに据え置くことで合意し、必要に応じて日量200万バレルの余剰生産能力を活用する方針も示した。
これは消費国に対して「原油相場高騰の責任を産油国に押し付けるな」と言っているわけだ。
私のデータによれば、OPECは石油精製業者が吸収できる量の原油は売っている。裏ではヤミ増産もあるのでOPECを犯人とするのは間違っていると考えている。
基本的には石油消費量を毎年15%以上も増やす中国と、いまだにガソリン需要を伸ばし続ける米国の存在が原因だろう。
しかしそれだけでは説明できない高値をつけているのが現状だ。
ヘッジファンドなどの投機資金が暗躍していることは周知だが、なんとそれ以外に金融緩和で運用難に陥った年金基金などが直接資金を投入しているのだ。
まあ堅い金が高値を買い始めていることを冷静に見れば、投機相場は終盤と見てよいだろう。
不確定要素である米国のハリケーンや中東情勢を心配する向きもいるが、それらに対する相場の耐性はむしろ強くなっている。
肝心な日本経済への影響だが、実は昔ほど大きく無い。
25年前、日本は世界原油総輸入額の39%を占めていたが、最近の原油総輸入額のシェアは15%程度だ、しかも当時の2倍以上になっている円高もあって原油高の打撃はかつてほど大きくは無いのだ。
原材料値上げによる企業収益の悪化が言われずに、日経平均が13000円を突破していることがその証明だ。
更に国民全員が省エネルギーに取り組めば言うことは無いだろう。
航空業界に関して言えば、ジェット燃料ケロシン高騰というあまりにも分かり易いロジックが在るためにその評価は日経平均から大きく下乖離している。
しかし航空業界はサーチャージ(燃油特別付加運賃)の引き上げなど料金の改定が柔軟にできる構造を持ち、そういった仕組みをお客様が理解してくれている強靭な業界なのだ。
歴史的にエネルギーをめぐる思惑は極めて激しいものが存在する、ある程度の変動は許容する必要があるだろう。
むしろ実需で緩やかに上昇するならば正常な脱デフレとして歓迎しても良いくらいだ。
今こそ日本経済は原油高騰に負けない強さを示すときなのだ。
2005年9月21日 ザ・イトヤマタワーにて 糸山 英太郎