連日マスコミはマンション耐震強度偽造問題について報道しつづけているが、事の本質からはどんどん離れていくような気がしている。
マンション住民ら大勢の命にかかわる事件の当事者でありながら、人ごとのような話し方しかできない姉歯建築士、派手なパフォーマンスとともに話の内容がくるくる変わるヒューザー小島社長など、眼がうつろになっている詐欺師達をいくら引きずり回しても答えは出ない。
皆も承知しているはずだ。
水産・農林・加工食品・薬品・自動車・流通・金融・通信など皆が知っている業界はどうか。マンション業界以外にもこのような詐欺師は存在するだろう。
すべての業界に巣くう詐欺師をなんとか排除できるのは行政と消費者自身でしかないのだ。
建築確認で不正を見抜けなかった検査機関は、国土交通省の指定を受けた民間業者だ。
国土交通省は、稀に見る建築行政の大失敗であることを自覚し猛省する必要がある。
さて多くの消費者は如何にすべきか?
私も住民の皆さんの、大きな買い物の結果には同情しているし、マスコミの中にも住民の皆さんを非難する言葉など一切ない。
しかし敢えて弱い立場である消費者自身も考えなければいけないと言いたい。
ここ数年のデフレ経済の中、価格破壊は単純に善であり続けた。
適正価格という考え方が無くなり、一円でも安いものこそ消費者の味方であるという考え方が支配していたのだ。
ハンバーガーや牛丼ならいざ知らず、家を求めるときにこの考え方は極めて危険だ。
昔から「安普請」という言葉があるが、安普請の物件など買いたい人間はいないはずなのに、安普請を競って買い求めたのだ。
高品質で丁寧なつくりのマンションを建てる会社を知っているが、その価格を適正と見てくれる消費者は極めて少ないと言っていた。
マンションだけではない、日本で作られるすべてものがどんどん安普請になっていくならば、国益の毀損に他ならない。
口を開けて待っているだけで、安全で安くて良いものが入ってくるなんてことは100%ありえない。
消費者は常に勉強し、自らの目に適ったものには適正価格を認めてやれ。
日本そのものを安普請にしないことこそ国益であり消費者の利益であることを知ってほしい。
2005年11月30日 ザ・イトヤマタワーにて 糸山 英太郎