JALが発表した2006年3月期の連結決算は、最終損益が472億円の赤字だった。運航トラブルや経営責任を巡る内紛の影響で国内線を中心に旅客数が伸び悩んだほか、原油高による燃料費増加も収益を圧迫したといつもお馴染みの説明だ。
2007年3月期は国内・国際線旅客の回復を想定しているが、最終損益は30億円の黒字と非常にさびしい予想内容となっている。
全く同じケロシン(ジェット燃料)で飛行機を飛ばしているANAが好決算となったことについては「国際線は燃料をたくさん必要とする。いかに国際線の燃料費に影響されるかとの証しだ」と開き直る恥ずかしさだ。
しかしこんなにひどい決算でも、私はある種の疑問を持っている。
なぜ決算予想どおりなのか?安全トラブルによるANAへの顧客流出をマイナス320億円程度としているがはたしてそうであろうか?JAL・ANA双方の現場から私に届けられる情報ではもっと深刻だと思っている。
中央青山監査法人に前代未聞の行政処分が下るほど企業決算に対する信用度が落ちているこの時期にこのアバウトさは非常に危険だ。株主総会を乗り切るための決算書であってはならない、投資家のための正確な情報であるべきなのだ。
一部のベンチャー企業が投資家の信用を失っている。正直な決算を迫られ業績下方修正を発表、株価が急落しているベンチャー企業が増えているのだ。
相次ぐ不祥事や企業統治の不備、企業情報の不正確さなどが投資家の不信感を増幅させることについてはこのHPでも再三言っていることだ。
ナショナルフラッグキャリアであるJALはそれらの模範とならなければいけない。
私がJAL持ち株の半分を市場で売却したことは報道等で周知のことだが、赤字無配の企業を私が大量にホールドし続けることはできないことは理解してもらえるはずだ。
ANA株426円より100円以上安いJAL株305円という現状は、私が投資対象として吟味している他企業と比較してあまりにも魅力が少ないのだ。とは言えいまだ4000万株超を保有する個人筆頭株主であることに変わりはない大いに経営の監視をしていくつもりだ。今後は復配であれば買い戻しを、無配が続くなら売却という投資行動をとることになろう。
米国著名投資家ウォーレンバフェット氏が日本株への積極投資を宣言している。
外国人投資家は日本人投資家が不良ベンチャーにうつつを抜かしている間に日本の優良株を大量に取得しているのだ。
東京株式市場の玉石の玉だけを外国人投資家に持っていかれることのないようにしなければならない。
JALが玉か石かは今期の業績にかかっている。
今回、赤字無配にした現経営陣に私の議決権行使書は渡さない、まずはその上でJAL株主総会を見守ることとしよう。
2006年5月11日 ザ・イトヤマタワーにて 糸山 英太郎