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2006.08.04
王子製紙の戦略
まともなM&A

業界首位の王子製紙が仕掛けた北越製紙への敵対的な株式公開買い付け(TOB)に対して製紙業界2位の日本製紙は北越製紙株式を10%未満の範囲で取得する方針を決めた。
独立路線を歩みたい北越製紙と、同社の買収をめざす王子製紙との攻防は、日本製紙の参戦によって「業界の2強」対決へと発展している。

私は王子製紙の戦略は正しいと考えている。
業界最大手の王子製紙が強引な手段に訴えてまで再編を推し進めようとしていると批判されるが、まともな理由が存在するのだ。
原燃料高や海外勢との競争激化によって王子、日本製紙とも06年3月期連結決算の営業利益は前期より2ケタの減少となっている。
勝ち抜くために巨大製紙会社が必要だ、北越製紙だけではなく日本製紙も統合して戦前のような製紙会社をつくって世界のメガコンペに挑むべきなのだ。
公正取引委員会が独禁法違反の審査を始めたがバカ真面目に法を運用すれば国益の毀損に他ならない。
さらに、このM&Aはこのところ蔓延していたイカサマファンドやイカサマベンチャーが仕掛けていた、いい加減なものではない。
日本で初めて、まともな会社がまともな理由でまともな会社を敵対的M&Aしているのだ。再編によって企業価値が高まり、株主に価値を提供できるというまともな資本の論理を否定できる経営者は一切存在しないはずだ。

日本の大企業は世界の大企業に比べるとまだまだ小さく規模のメリットを享受するに至っていない。そしてそれは製紙業界だけの問題ではない。
航空業界の2強JALとANAの関係も見逃すことはできない。人口2億人に1社で十分とされる航空会社が日本には2社存在する。
しかもJALの時価総額は5700億円を切る超ディスカウント状態なのだ。
3000億円程度で航空業界の再編が可能だ。事実、私のところにも外資系金融機関からのオファーがあった。しかも来年からは外資によるM&Aがより容易になる。航空法で外資規制があるといっても黒い目の外国人投資家が跋扈することになるだろう。
鉄鋼業界では世界1位のメーカーが世界2位の買収といった大胆な動きも活発化し、日本への波及も取りざたされている。
これからは国境を超え、大手も中堅も巻き込んで再編のうねりが拡大していく。
日本企業は買収防衛に関心を集中するのではなく、競争に打ち勝つ戦略を持つことに注力しなければならないのだ。


2006年8月4日 ザ・イトヤマタワーにて 糸山 英太郎



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