東京電力は9月からの電気料金改定に伴い、現在の原油価格水準が続いた場合、標準家庭の電気料金が平成21年1月から月額約800円値上がりする可能性があると発表した。
電力会社の費用負担は高まっており、料金改定を予定する他電力会社も同様の措置をとるとみられている。
ガソリンや食料品の相次ぐ値上げの中、重要なライフラインである電力の料金値上げは消費者と企業の心理を激しく圧迫してしまった。
公共性の高い電力には予告が必要とはいえ発表のタイミングは最悪だ、夏休みという幅広い消費が期待できる時期にわざわざ言うことではない。
家庭であれば月額わずか800円の値上げがその数百倍の節約を生み出し、企業であれば莫大な光熱費増に商売が消極的になってしまう。
この期に及んでも大田経財相は「スタグフレーション」という経済現象については「そのような状況ではない」と否定している。
ではどういう状態なのかと問われて「景気と物価のねじれ」とのたまった、思わず苦笑したのは私だけではないはずだ。
景気と物価のねじれとスタグフレーションが違うという大田経財相には経済学ではなく言語の勉強をしてこいと言いたい。
日本経済のスタグフレーションをそんなに認めたくないのなら、私が認めてあげよう、1月に既に明言したとおり間違いなく日本はスタグフレーションの最中にいる。
スタグフレーションの解消には二つしか道がない。
失業者の激増を放置し完全に購買力が失われて物価が下落するまで待つ、あるいは積極的に財政出動し物価と雇用を安定させる、のいずれかだ。
大規模経済対策では財政がもたないと識者は繰り返すが、経済を木っ端微塵にし、日本を破綻国家にして物価を下げてもまったく意味が無い。
昨日、漁業だけ補填を決めたが中途半端極まりない。他産業からの不満は非常に強いし、当の漁業従事者からも補填を受けるための条件が複雑で額も少ないとありがたがられない始末だ。
政治家の拙いアイディアにうんざりする今こそ行政に力を発揮してほしい、財政の健全性を金科玉条とし摘発型の仕事ばかりでは景気の足を引っ張るだけだ。
危機感を持つ行政官は少なくないと思っている、現場をよく知る者に期待したい。
唯一お祭り気分にさせてくれる北京オリンピックも、もはや経済のマイナス材料として扱わなければならないだろう。
中国がヒト・モノ・カネを投入すればするほどオリンピック後の不況は大きなものとなるのだ。
年配の方なら、東京オリンピック後の40年不況を憶えているだろう、ソウル・バルセロナ・シドニーもオリンピック後は不況になったのだ。
極めて苦しい状況をまずは認めねば話は始まらないと言っておく。
2008年7月29日 ザ・イトヤマタワーにて 糸山 英太郎